次回でつかさやに会えるのは最後になりますね…
今期ドラマで私的ダントツの大ヒットドラマが「ウチの夫は仕事ができない」でした。
今期というか近年のドラマで一番素晴らしいドラマだったのでは、と思う。
私の周りでは正直そうでもないかなあ、という反応が実は多かったドラマだったので「何故!この!素晴らしさが!伝わらない!」と常々思っておりました。
もうキャストからストーリーから全てが完璧でした。
実年齢差だけでいうと正直1話を見るまでは亮ちゃんと松岡茉優ちゃんが夫婦…?と思っていました。
けれど1話が見終わる頃にはそこには錦戸亮と松岡茉優ちゃんではなくちゃんと"つかポン"と"さーや"がいました。
そもそもこのドラマの何が素晴らしいのか。
私は社会人だけど新婚じゃないし、仕事ができないと言われても接客業だったのでサラリーマン的な事はあまりピンとこない。
正直つかポンやさーやに共感できるものがない、と1話を見るまでは思っていました。
だけどこのドラマには現代に必要で無駄なものが沢山詰まっているドラマだと思う。
そもそもつかポンは仕事ができないわけではない。
資料を作る段階でミスを連発するようなお荷物社員なのかと思いきや資料を作ったりアイデアを出すところでは問題がない。
要領が特別悪いわけでもない。
けれど、人が良すぎるあまり損をする性格。
つかポンはいつも自分の正義を貫いているから"お荷物社員"のレッテルを貼られていた。
でもそのつかポンの正義は自分の我儘ではなく誰かのためになる正義で、
危篤のお母さんの元へ駆けつけて欲しい、
このイベントが盛り上がればいいな、
そういう風に考える人間なのだ。
今でも忘れられないのが二話でつかぽんがおもちゃエキスポのスタッフのお弁当発注を任された話で、
「お弁当がよかったよね」とクライアントに褒められた時。
相手は勘違いをしてつかポンではなく田所くんを褒めた。
ただつかぽんはその場で何も言わず、周りも否定をしなかった。
その話を聞いたさーやがつかポンに「なんで自分ですって言わなかったの?悔しくなかった?」って問いただした。
その時つかポンはこう答えた。
「さーやのおかげでさ、折角評価もされたのに自分の物にできなかった。本当に申し訳ないし、悔しい」
「僕の仕事でみんなが喜んでくれてるとか、午後も頑張ろうっていう気になってくれたって。だから僕は良い仕事ができたんだと思う。会社に入ってさ、こんなに嬉しかったり、こんな風に誇らしい気持ちになったり…初めてだったんだよね。だから悔しいけど、今回はこれで良いんだ、って思うことにしちゃった。…ごめんねさーや。次はね、勘違いされないように…頑張る」
つかポンは出世したいとか、誰かを出し抜こうとなんてしない。
小さな仕事でも誰かの為に頑張る人なのだ。
大きな仕事とか、小さな仕事とか関係なく。
ただそれが空回りしてしまうこともあるし、悲しいけど綺麗事だけじゃ社会は評価してくれない。
でもそれが良い上司や何より奥さんの支えがあって良い方向に変わっていく。
その優しいプライドが周りに評価され、仕事ができるようになっていく。
でもそれもさーやに「僕は仕事ができない」とカミングアウトしたからこそだと思う。
一話を見ても最初の頃のつかぽんは少し無理をしているように見える。
異動してきたばかりといえ、二話とはまるで表情が違う。
それが一話の最後でさーやに「僕は仕事ができません」とカミングアウトしてからそれが変わる。
そして凄いのはこのカミングアウト後のさーやの言葉。
「今朝見ちゃいました。退職願。…司さんの良さが分からない会社なんか辞めていいです。会社を辞めてもなんとかなります。何ヶ月か無職かもしれないけど、私も働きます。だって家族がいて、美味しいご飯が食べられて、それで健康だったらお金は沢山いらない。ずっとずっと私の大好きな司さんでいてください。出会ったあの日のままの」
「もう立派な夫を演じる必要はありません。いつの間にか私が理想を押し付けてしまっていた。司さんに無理をさせてしまっていた。理想とかどうでもいいです。優しすぎて損することがあったっていい。だってそれが司さんだもん」
その言葉に心が軽くなって勇気が出たつかポンはもう少し頑張ろうと、仕事に前向きに取り組めるようになる。
この"ウチの夫は仕事ができない"は、毎回大切なことを教えてくれる。
それは仕事への取り組み方だったり、周りの支え方だったり、上司として部下への接した方だったり。
何より、人として大切なものは何かを。
最新話の九話でつかポンは仕事ができるようになった後の夫婦のすれ違いだったり、もやもやを描いている。
つかポンは会社で成功するようになってきて、新しい大きな仕事のチームリーダーを任されるほどになっていた。
自宅でもずっと仕事をし、会話もなくさーやとすれ違っていく。
すれ違った後つかポンはふと、考える。
自分のなりたかった自分は"これ"なのかと。
そして土方チームリーダーに仕事を断りに行く。
その時に
「お前のサラリーマン人生が大きく変わろうとしているんだぞ。みんなが羨むような、やりたくてもやれないような大きな仕事を任される立場になるんだぞ。
正直なのはわかったけど、いつまでも仕事のできない良い人でいたいわけではないだろう」
そう土方チームリーダーに問われた。
これはとても正論だと思う。
そりゃ誰だって大きな仕事をしたいと思うだろうし、何より"仕事のできない自分"とは決別したいはず。
でもつかポンの出した答えはこうだった。
「どれだけ仕事を抱えても、上手くバランスを取りながらやっていける人もいると思うんです。
でも僕にはできないってわかったんです。キャパオーバーなんだなって。任せてもらえて初めてわかりました」
仕事ができるようになって、自宅や休みの日にも仕事をする時間が増えたつかポンはちゃんとこなしているように見えていた。
けど、それはそう見せていただけで今までとは違う時間を刻んでいる時点で"キャパオーバー"だった。
そしてさーやにも自分の気持ちを伝えた。
「色々考えたんだ。例えば、人生ってなんだろうとか。
これまで会社で認められたり、誰かに頼りにされるようなことなんて、なかったからさ。嬉しくなっちゃって。でもさ、それが、一番僕が欲しいものなのか、一番大事で、一生かけて守っていかなきゃいけないものなのか、って考えたらさ、なんか…違う気がして。僕が一番大事なのは…さーやだよ。僕が、一生かけて守っていきたいものはさーやと、この子(お腹の子)だから。家族だから」
人それぞれ大事なものって絶対違うと思う。
土方チームリーダーは仕事が大事な人で。
(勿論家族も大事だろうけど)
でも、大事なものでも優先順位がある。
つかポンは家族の為に働いている。
家族が大事だから、暮らしていく為に仕事をしている。
地位や名声の為に働く人もいるし、そうじゃなくて、ただ抱えすぎてしまう人もきっといる。
働くとは何か。
正直働いていても何のために働いているんだろう、って思う事って沢山ある。
それは大事な人がいるとか、いないとか関係なく。
お金の為?自分の為?誰かの為?
とても考えさせられる。
そして仕事をしていて辛いことって続けていれば必ずある。
けどそれは自分だったり、周りの接し方によって変わるのではないだろうか。
働く為に生きるのではなく、生きる為に働く。
最終話は何をテーマに話すのか。
それが今からとても楽しみです。
そしてこれから疲れてしまったり、躓く事があればこのドラマを何度でも見ようと思います。